疼痛・興奮・譫妄(INTENSIVIST VOL.6NO.1)の重要項目まとめ

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目次

1. 【痛み・不穏・せん妄の評価】
2. 【鎮痛の方法論】
3. 【浅い鎮静のススメ】
4. 【デクスメデトミジンのススメ】
5. 【せん妄の総論と予防】

 

 

その他の巻についてもこちらをご覧ください↓

INTENSIVIST 重要項目まとめ

 

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【1.痛み・不穏・せん妄の評価】
参考:https://gakken-mesh.jp/info/wp-content/uploads/2012/05/e236bef70ebdf9aaa01485469daaf220.pdf

・詳細は下記に述べていくが、RASS、BPSやCAM-ICUなどのスコアリングシステムを使うことによって、過剰鎮静が避けられる可能性がある。これによってプロポフォールの使用量が有意に減少する可能性がある。
・譫妄についても、発症を減少させられることが期待される。
(私見)・スコアリングを積極的に導入している病院とそうでない病院では差が出る可能性がある。

a. 痛みのスケール
①BPS:Behavioral Pain Scale
5点以内で管理することが望ましい

②CPOT:Critical-Care Pain Observation Tool
3点以上を強い痛みと評価する。

https://www.kango-roo.com/sn/k/view/5589

 

b. 不穏のスケール
RASS:Richmond Agitation-Sedation Scale
・日中はRASS 0〜−2
・夜間は−3〜−4で

https://gakken-mesh.jp/info/wp-content/uploads/2012/05/e236bef70ebdf9aaa01485469daaf220.pdf

 

c. せん妄の評価ツール
①3D-CAM
・実際には一人の患者に頻回に評価を行えないことから、段階的に評価を進めるのが現実的である。
・つまり、「今日は何曜日ですか」あるいは「曜日を日曜日から逆に言っていってください」などの簡易チェックで陽性となった患者にのみ、CAMを行うなどの工夫が欲しい。
(参考:https://www.rishou.org/files/1614/5523/8427/delirium_question.pdf)


http://hospital.tottori.tottori.jp/files/20180223113648.pdf

②CAM-ICU
・CAM-ICUを導入してせん妄の見落としを調査したところ、患者全体44%にせん妄が指摘された。
・CAM-ICUを導入したことで、デクスメデトミジンを使用したせん妄のリスクを抑える鎮静がなされる割合が増えた。
・ただし、特異度は高いものの感度が低いという報告がある。
・RASS-3など鎮静が深いと評価が難しくなる。

 

③ICDSC
・4点以上でせん妄の診断となる。

 

[せん妄リスクを減らす鎮静]
①急性期には生命の維持のため、プロポフォール(あるいはミダゾラム)でRASS-2~-4の深い鎮静を図る。
→呼吸は人工呼吸器に依存していることが前提である。

②亜急性期には、RASS 0~-2程度で自発呼吸を促し、昼夜のリズムを整えていく
→1日1回は鎮静を中断する。
→鎮静はプロポフォール(あるいはミダゾラム)を漸減しながら、デクスメデトミジンをかぶせて、全体に鎮静を浅くコントロールする。

③疾病離脱期にはRASS 0を目標に、症状・疼痛緩和のためにデクスメデトミジンを単剤で使用する。

 

 

 

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【2.鎮痛の方法論】
・中等度から強い苦痛が存在するか、発生することが 明らかな場合にオピオイド性鎮痛薬の投与を考慮する。
・オピオイドによる鎮痛の際にポイントとなるのは
①鎮痛効果はオピオイドの投与量や血中濃度の上昇と直線的な関係にはない
②投与量の個人差が大きい
③ただし、鎮痛効果が発現しない濃度とする濃度の差は小さく、その差に個人差はあまりない。
→鎮痛がみられるまで増量し、そこから持続投与により血中濃度を一定範囲に維持する。
→フェンタニル1~2μg/kgのローディングドーズにより、一気に血中濃度を高め、その後持続投与を開始する。
→ローディングを行わないと、持続投与で得られる最高血中濃度に達するまでに24時間かかってしまう。

 

[各論:フェンタニル]
・脂溶性が高く、中枢神経系への移行が速いため作用発現が速やか。
・血行動態への影響が少ない。
・肝腎機能障害の患者に対しても使いやすい。
・作用時間が短いので持続投与が必要である。
・投与時間が長くなると、半減期が延長し、投与中止後も作用が遷延するので注意が必要。

[各論:レミフェンタニル]
・超短時間作用型オピオイド
→頭部外傷や脳神経外科術後の神経機能評価がしやすい。
・0.025~0.05γでの投与で気管挿管の苦痛を緩和できる。
・フェンタニルのような半減期の延長が見られない。
・最近、ICUでの鎮静・鎮痛の有用性が報告されている。
→人工呼吸器管理期間の短縮が報告されている。

・欠点
①全身麻酔以外に保険適用がない
②高額
③投与中止後すぐに疼痛が出現する。

 

[各論:ブプレノルフィン(レペタン)]
・非麻薬
・認知機能やoddi括約筋への影響が少ない
・鎮痛効果に天井効果がない。呼吸抑制には天井効果がある。
・腎不全患者に使用可能
・免疫抑制作用がない
・離脱症状が起こりにくい
などの利点が報告されている。

 

[各論:デクスメデトミジン]
詳細は後述

・オピオイドとは異なる機序で鎮痛作用を有する
・オピオイドの必要量が減り、痛みの程度を改善っせ、オピオイドの副作用を減らす

 

 

 

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【3.浅い鎮静のススメ】
・従来、不動状態の深い鎮静による患者管理が行われてきたが、近年その弊害が指摘されている。

[深鎮静の弊害]
①呼吸抑制と呼吸器離脱遅延
・深い鎮静により自発呼吸と咳嗽反射が抑制される
→呼吸筋の低下と不顕性誤嚥の発生
→過度な鎮静は呼吸器離脱遅延を起こし、VAP(人工呼吸器関連肺炎)のリスクを高め、VALI(人工呼吸器誘発性肺損傷)のリスクを高める。
(VALIについて、詳しくはこちらの【人工呼吸器関連肺障害】参照)

 

②せん妄、うつ、PTSD、記憶障害
(筆者追記)・鎮静と鎮痛は違うことを再度認識!!
・深鎮静下で、疼痛の訴えがない≠鎮痛が十分 であることに注意!!

・過度な鎮静下の患者は疼痛の客観的評価が困難な場合が多く、十分な鎮静が行われていない可能性がある
・過鎮静と不十分な鎮痛は、譫妄、うつ、PTSDなどの精神障害を引き起こす。
せん妄はICU患者の長期予後と関連する。死亡率、人工呼吸器装着期間、ICU間人い期間と独立して強い相関がある
・長期間の鎮静やICUにおけるベンゾジアゼピンの投与量はうつと関連している。
・鎮静薬の使用量増加がPTSDと関連する。

 

③免疫系への影響
・鎮静は免疫能変化を引き起こす。
・ベンゾジアゼピンやプロポフォールは好中球の貪食能と殺菌能を低下させる。リンパ球の活性化やサイトカイン産生を障害する。
→細菌のクリアランスを遅らせる
→また不顕性誤嚥や離脱遅延に伴う感染危険因子への曝露増大という側面もある

 

④リハビリテーションの遅れ
・深い鎮静はリハビリテーションを遅延させる。
・せん妄に効果があるとエビデンスが証明されているのは、非薬物治療のみ
→薬物治療はhyperactiveせん妄をhypoactiveせん妄に変えるだけで、むしろ生命予後は悪くなる。
・せん妄には拘束避け眼鏡・補聴器付け、歩かせ、トイレ誘導!
・とにかく座らせ、立たせ、歩かせよ!
・1日3回「時間、場所、人」を繰り返し教えよ(reorientation)!
(参考:http://www.nishiizu.gr.jp/intro/conference/h29/conference-29_10.pdf)

・せん妄について、詳細は後述

 

[深鎮静から浅鎮静へ]
<浅い鎮静で人工呼吸器気管短縮>
・浅鎮静で、人工呼吸器装着期間が短縮した。
・RASS -5~-3の患者はRASS -2~+1の患者に比べて病院内及び180日死亡率が有意に上昇した。
・気管切開の割合が有意に低下した。
→このプロトコルでの鎮静レベルはRASS-2~-1程度

<1日1回の鎮静中断>
・1日1回の鎮静中断で、人工呼吸器装着期間が7.3→4.9日へ短縮し、ICU滞在日数が9.9→6.4日に短縮した。
・ここでも鎮静レベルはRASS-2~-1程度に管理
・日本ではSAT(Spontaneous Awakening Test)と呼ばれ、SBT(Self Breathing Test)プロトコルの一環として行われている。


https://www.jaccn.jp/guide/pdf/proto2.pdf

 

[浅い鎮静は安全か]
a. 患者ストレス
・浅い鎮静はカテコラミン濃度の上昇と酸素消費量の増大などの身体的ストレスを増大させる
・しかしこれらの現象と臨床的意義の対応は不明である。

b. 看護師の労働負荷が増大?
・レミフェンタニルのみのよる鎮痛薬のみによる鎮静群と、ミダゾラム+フェンタニルなどの鎮静・鎮痛群を比較したところ、前者で人工呼吸装着期間が2日短縮され、かつ事故抜管や再挿管率は有意な上昇を認めなかった
→鎮痛のみの無鎮静での管理でも事故抜管は増加しない

c. 浅い鎮静と精神障害
・浅い鎮静は妄想的記憶と関連しない
・SATは一年後の精神障害の罹患率を減少させ、PTSDの減少と関連している
・深い鎮静では妄想的記憶が増加する。

 

→以上のことから、浅い鎮静は事故抜管やVAPなどの有害事象を増加させることなく安全で、ICUにおけるせん妄やPTSDなどの精神障害を引き起こすことなく、長期の精神的および機能的な障害に影響を及ぼさないものと考えられる。

 

 

 

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【4.デクスメデトミジンのススメ】
商品名:プレセデックス

・ミダゾラムやプロポフォールと比べ、副作用として呼吸抑制がない
・譫妄発症頻度が低い
・人工呼吸器管理期間が短縮する。

[多彩な作用]
・鎮痛作用
・血圧上昇/低下作用(とくに初期ローディング負荷時に血圧上昇すると言われる)
・徐脈
・デクスメデトミジンによる鎮静はGABA受容体を通さず、自然睡眠のような状態がもたらされると言われている。

 

[DEXに関わる研究]
研究①
・DEX群、MDZ群、Prop群を比較すると、DEX群で譫妄発症率が有意に低い
→3% vs 50% vs 50%
・ICU滞在期間、人工呼吸器管理期間は有意差なし

研究②
・DEXとロラゼパムを比較すると、昏睡発生頻度はDEX群で低いが、譫妄抑制作用では有意差なし
・目標鎮静深度維持期間はDEX群で長い

研究③ SEDCOME traial
・DEXとMDZを比べた多施設二重盲検RCTで、譫妄発生頻度はDEXで優位に低く、かつ目標鎮静深度維持期間は両群で有意差なし
→鎮静深度のマネージもDEX群で問題なし

研究④
・DEX群とMDZ/Prop群で、目標鎮静深度をRASS-4以下においた場合、DEX群では達成率が有意に低かった
→深鎮静を行う際には、DEX単剤では不適当

研究⑤ MIDEX, PRODEX trial
・目標鎮静深度RASS -3~0
・DEX:0.2~1.4μg/kg/hr
・MDZ:0.03~0.2mg/kg/hr
・Prop:0.3~4mg/kg/hr

→目標鎮静深度維持期間は各薬物間で有意差なし
→人工呼吸器管理期間はDEX/Prop群でMDZよりも有意に短い
→痛みの表現はDEX群で良好であった
→ICU滞在期間、死亡率に有意差なし
→DEX群で、MDZ群に比べて、低血圧と徐脈の合併症が多かった。
→DEX群とMDZ群では低血圧、徐脈の合併症で有意差なし

(私見)
・ICUで超急性期を脱し、治療期~維持期にはDEX単剤+フェンタニルでの鎮静・鎮痛がベストか
→あるいは、無鎮静でオピオイド投与のみの挿管管理も有効である可能性がある。

・ARDSの急性期など、VALIを予防する目的で、深鎮静かつ肺保護換気を行う際や、RSIに代表されるように挿管を行う際には、DEXの鎮静効果では不十分となる可能性があるこことからPropを使うのが良いか
↑研究④が根拠
↑MIDEX, PRODEXでも、鎮静作用不十分を理由として、DEXの投与が中止された例が有意に多かった。

・MDZはせん妄のリスクとなることから、極力使わない
・DEX/Propのように、血圧低下が致命的になる際には、(MDZで血圧低下が確かに少ないが、それでも起きるは起きるので)ケタミンの血圧上昇作用を使用することも考慮する。
→特に、COPD患者や喘息患者では、ケタミンの気管支拡張作用をおまけ的に使用できるかもしれない。
→気道分泌物の増加は稀

 

[DEXの欠点]
・事故抜管の発生率は、浅い鎮静やSATの実施によって増加しないとは言われているが、看護師の労働負荷を有意に増加させるとの報告もある。
・深い目標鎮静深度には不適当
・高額である

 

[ミダゾラムは第一選択では用いない]
↓INTESIVIST著者の私見
・MDZはProp/DEXと比べ人工呼吸器期間が延長
・ICU期間も延長
・覚醒が遅く、さらに肝腎機能低下例では蓄積する
・せん妄のリスクとなる
・ベンゾジアゼピン系の使用が退出後のうつやPTSDと関連しているという指摘がある。

 

→2013年の鎮静鎮痛に関するガイドラインでも
・「鎮静薬はベンゾジアゼピンよりもプロポフォールまたはデクスメデトミジンを選ぶほうが良いかもしれない(Level +2B)」
・「ベンゾジアゼピンの使用はICU患者のせん妄発症リスクであるかもしれない(LevelB)」
などの記載がある。

 

 

 

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【5.せん妄の総論と予防】
[定義]
・時間または日単位で変動する認知機能低下を伴う意識障害
・単なる不穏や興奮状態のことではない。
・過活動型せん妄と低活動型せん妄があるが、ICUでは低活動型の頻度がより多い。
上述の簡単な質問を用いたスクリーニングや、3D-CAMによる診断が重要となる。

 

[分類]
①hyperactive delirium
→いわゆる不穏

②hyporactive delirium
→静かで無関心、傾眠傾向
→高齢者になるほどこちらが多くなる
→死亡率も他の分類と比べて有意に高い(6か月死亡率32%)

③mixed type delirium
→そのどちらも

[危険因子]
・患者の素因によるものとのちに発生した増悪因子(急性疾患や環境因子)にわけて考える。

 

[発症率]
・N数の多い研究ではICU入室患者のうち30%前後がせん妄を発症すると言われている。
・80%程度が発症するとする報告もある。

 

[予防法]
(参考:http://www.nishiizu.gr.jp/intro/conference/h29/conference-29_10.pdf)
・暴れる譫妄を薬で静かにできるが死亡率は上昇する。

・譫妄に有効な薬はなく極力、非薬物治療を行え。

・拘束避け眼鏡・補聴器付け、歩かせ、トイレ誘導、下剤使用、H2拮抗薬避けよ。

・尿閉、便秘は譫妄起こす。トイレ時間誘導し緩下剤だせ!

・とにかく座らせ、立たせ、歩かせよ!

・1日3回「時間、場所、人」を繰り返し教えよ(reorientation)!

・病棟に時計、カレンダー置き、自宅のお気に入りを持って来させよ。

・ベンゾジアゼピン使用は、BZDやアルコールの離脱症状の時のみ!

・眠剤は極力避けるがどうしても使うならロゼレム。

・抗コリン薬、第1世代抗ヒスタミン薬、抗H2拮抗薬を中止せよ!

・抗コリン薬
(ポラキス、ネオキシテープ、トビエース、ベシケア、ウリトス、ステープラ、デトルシトール、バップフォー)
尿失禁には時間でトイレ誘導。抗コリン薬低量で譫妄を起こすことは稀。
・抗てんかん薬 : てんかんリスク少なければ中止か他の製剤使用。
・三環系抗うつ剤:amitriptyline(トリプタノール)、imipramine(トフラニール)は
抗コリン作用あり。
SSRI(パキシル、ジェイゾロフト、レクサプロ、デプロメール、ルボックス)か、
SNRI(サインバルタ、トレドミン、イフェクサー)に変更せよ。
・H2拮抗薬(ガスター、ザンタック、タガメット、アルタット、アシノン、プロテカジン等)
抗コリン作用あり減量するかPPIに変更せよ。
特に高用量の静注で起こる。
・抗パーキンソン薬:高用量使用でドパミン中毒起こる。減量する。

・向精神病薬(ウィンタミン、コントミン等)抗コリン作用による。中止するか減量。

・疼痛は譫妄起こす!鎮痛薬は頓服でなく定時(round the clock)処方せよ。

・譫妄診断に3D-CAMが優れる。
→譫妄の感度95%、特異度94%
→3D-CAMについて詳細は上記を参照

・譫妄誘発因子は「DELIRIUM」と覚えよ!
Drug,Electrolyte,Lack of drug,Infection,Reduced sensory,Intracranial dis,
Urinary and fecal,Myocardial and pulmonary

・検査はまずCBC, electrolytes, BUN, Cr,胸部Xp, EKG。

・深夜のバイタルチェックやめて不必要な覚醒を避けよ!

・興奮譫妄で危険な時のみ抗精神病薬少量使用(セレネース、リスパダール、ジプレキサ、セロクエル)
→ただし、薬物治療によってせん妄の期間が短縮するというエビデンスはない

・Haloperidol(セレネース:内服0.75, 1, 1.5, 3mg錠、注射5㎎/ml)
国内0.75-2.25㎎/日で始め漸増、維持3-6㎎/日。注射は5㎎/回、1日1-2回。
3㎎超えると錐体外路症状起こりやすい。
米国では0.25-0.5mgで開始(日本より少ないことに注意)、最大3㎎。
譫妄では最古の実績(track record)。

・Risperidone (リスパダール:内服0.5, 1, 2, 3mg錠、リスパダールコンスタ:注射25, 37.5, 50mg)
セロトニン・ドパミン遮断薬(SDA)、1㎎/回、1日2回で開始漸増。維持2-6㎎/日、
2回に分服、最大12㎎/日。
米国では初期量0.25-0.5㎎で開始(これも日本より少ない!)、最大3㎎。
低用量では錐体外路症状はhaloperidolより少ない。
効果はhaloperidolに極めて類似。

・Olanzapine (ジプレキサ、ザイディス:内服2.5, 5, 10mg錠、筋注:ザイディス10㎎)
多元受容体抗精神病薬(MARTA)、
国内1日1回5-10㎎で開始、維持10㎎、最大20㎎。
米国では2.5-5㎎で開始(日本より少ないことに注意)、最大20㎎。
鎮静効果はhaloperidolより強い、高血糖起こす。

・Quetiapine (セロクエル、内服25, 100, 200mg錠)
多元受容体抗精神病薬(MARTA)、
国内25㎎/回、2-3回/日から漸増、150-600㎎/日、2-3回で分服、最大750㎎/日。
米国では初期量12.5-25mg(日本国内より少ない)、最大50㎎/日。
鎮静効果はhaloperidolより強い。高血糖起こす。
パーキンソン患者では注意。

・Lorazepam (ワイパックス、内服0.5, 1.0mg錠)
Benzodiazepine系。国内1-3㎎/日、2-3回分服
米国:初期量0.25-0.5mg、最大2㎎/日
逆説的興奮(paradoxical excitation)、haloperidolより呼吸抑制強い。

 

・ABCDEFGバンドル

http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03259_01

 

[せん妄の影響]
・譫妄期間の延長がICU滞在期間/病院滞在期間の延長をきたす因子となる。
・人工呼吸器装着期間も長くなる
・6か月死亡率を上昇させる
・譫妄期間が長くなると死亡率が上昇する。
・せん妄=急性脳障害、急性脳不全などの病態と捉えられ、長期的な認知機能障害などの脳機能予後と関連する可能性がある。
・特に譫妄期間が長くなればなるほど重度の認知機能障害となる可能性がある。

 

 

川良健二

 

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